3D CGのレンダリング時間、「STAND BY ME ドラえもん」

Blenderで約4秒間(125フレーム)のCGアニメーションを制作しました。
レンダリングが、1280ピクセル x 720ピクセルのサイズで、30時間かかりました。

その待ち時間の間に、山崎貴が監督したCG映画「STAND BY ME ドラえもん」のレンダリングがどんなものかと調べてみたのでまとめておきます。


3DCG映画『STAND BY ME ドラえもん』制作秘話 - スタッフが追求した徹底的な「リアル」とは (1) 1年半以上かけてキャラクターやひみつ道具を3D化 | マイナビニュース

【特集】【本日公開】映画『STAND BY ME ドラえもん』制作の舞台裏 ~『ドラえもん』がフル3D CGに - PC Watch

ASCII.jp:えっ、指紋つきのドラえもん!? 3DCGに込められた「質感」へのこだわり (1/3)

しばらく引用が続きます。
引用はあまり良くない(引用とわかるようにしているのでコピペとして怒られることはないのかなと思います)のですが、
インターネット上の情報は、記事が(場合によっては掲載メディアごと)消されて消えてしまったり、URLが使えなくなってしまったりと、情報が保存されないことがあるので、今回は引用というかたちにします。

制作期間は、企画から4年、実作業で3年半。そのうち制作の準備段階で1年半もかけている。この準備をしっかり行うのが白組の制作スタイルだ。映像を制作する行程について、八木氏が教えてくれた。
マイナビニュースより)
(補足 : 八木氏とは、山崎とともに監督した八木竜一)

リアルさを表現するにあたって、質感の表現にも新しい技法が取り入れられている。「サブサーフェイス・スキャタリング」と呼ばれる、光が皮膚などの表面を透過して、内側が透けて見える様子を再現する技法が、ひみつ道具や、キャラクターたちの肌にふんだんに使われている。未来のひみつ道具はより未来的に、キャラクターは生身を感じさせるような暖かみのあるリアルな質感となった。

とはいえ、サブサーフェイス・スキャタリングは負荷のかかる処理でもある。レンダリング環境はメモリを32GB以上に統一していたが、複雑なシーンでは、1枚の絵をレンダリング(計算)するのに、6時間かかることもあったのだそう(映画は95分あり、12万枚以上の画像が必要)。

それ以外の一般的なシーンでも、1枚あたり1時間かかるのは当たり前。リアルなキャラクターやひみつ道具が完成した裏には、質感にこだわり抜いたスタッフの職人魂があったのだ。
マイナビニュースより)

一般的なシーンを描くのに用意したポリゴンデータは、背景データとキャラクターデータを合わせて4,000万ポリゴン前後。
ちなみにキャラクターをレンダリングする際にも、こうした背景データからの陰影や映り込みの影響が計算されている。
ドラえもん」で29万ポリゴン前後、のび太で86万ポリゴン前後という
マイナビニュースより)

空き地のシーンは、空き地部分だけで約1400万ポリゴン、周辺にある塀や民家を合わせて約3500万ポリゴンで構成されている。
使用している3DCGソフトはオートデスクの「3ds Max」
マイナビニュースより)

実際の映像制作に使われたデルのワークステーション「Precision T7600」。
スペックはCPUがIntel Xeon E5-2665(2.40GHz)、メモリが64GB、ストレージが500GB SATA3 HDD、OSがWindows 7 Professional 64bit
マイナビニュースより)

ここまでマイナビニュース

「各シーンでは、まずキャラクターの骨組みのような単純なモデルを用いて、動きなどを作り込んで行きます。それから最終的にレンダリングを行なう段階で実際のモデルと差し替えていくんです」と説明する。

実際のモデルと差し替えた後、いよいよレンダリングが始まるわけだが、白組では数百台のマシンを用いて、CPUでレンダリングを行なっているという。レンダリングにかかる時間は、今回の『ドラえもん』ではまだすべては計測していないそうだが、鈴木氏によれば「前回の『friends もののけ島のナキ』では1フレームあたり約12分を想定して制作していました。『ドラえもん』では1枚あたり1時間なんというのはよくありますよ。タイムマシンが手前に迫ってくるような、非常に重いシーンでは、1フレームあたり6時間かかりましたね」という。
PC Watchより)

『STAND BY ME ドラえもん』の制作には、デルのワークステーション「Precision T7600」が6台利用された。導入期間は2012年11月から2013年の2月。主な仕様としては、CPUにXeon E5-2665(Sandy Bridge-EP/8コア/2.6GHz/L3キャッシュ20MB)、メモリ64GB、500GB HDD(7,200rpm)、OSにWindows 7 Professional(64bit)などを搭載している。

鈴木氏は、「当初はPrecision T5500を利用していたんですが、制作の中でスペックを強化していきました。最終的に合成のチームはPrecision T7600を、レンダリングには同じくデルのOptiPlexシリーズを多数利用しました」と説明する。
PC Watchより)

ここまでPC Watch

白組 CGスーパーバイザーの鈴木健之氏「キャラクターの計算をするにも背景データがちゃんとなくちゃいけないんです。たとえば、空き地の中だけで1400万ポリゴン。外の民家とかも3500万ポリゴン。リアルタイムでは開けないですね。計算して初めて絵がわかる。ちなみにキャラクターで言うと、ドラえもんが29万ポリゴン、のび太が86万ポリゴン。一般的なシーンで、4000万ポリゴンぐらいです。データは最終的にレンダリングサーバーに全部集約されるんですが、普通のマシンでは耐えられないですね。ピーク時は数100フレームと計算したものが1週間帰ってこない。失敗すると大変です、全部撮りなおさなきゃいけないので(笑)」
アスキーより)

ここまでアスキー


引用終わります。




これらの記事より、レンダリングについての情報をまとめると、

「STAND BY ME ドラえもん」は、1時間30分程度。
フレームに換算すると、約12万フレーム

1フレームに10枚程度の画像を合成する。
そのため、12万フレームを作るためには、
約120万枚のレンダリング画像が必要

1枚のレンダリング画像を
レンダリングするのにかかる時間は1時間から最大6時間

記事によると、
PCはレンダリング用のマシンは200〜250台。


これらから、概算すると、
200台のPCで、120万枚のレンダリングをする、1枚あたり1時間かかるとする。

120万枚 ÷ 200台 = 6000枚/台

6000枚を処理するのは6000時間なので、
1日24時間に換算すると、250日

つまり、失敗することや、負荷が大きいカット、長い尺など、
また人間の労働時間を無視しての概算になりますが、レンダリングだけでほぼ1年かかっている。


レンダリングにとりかかる前に、3Dモデリング、テクスチャの構築、
アニメーションにするための骨やカメラのコントロールなどの作業がある。



ちょっと考えてみるだけでとても恐ろしい作業です。。。

3D CGは札束で殴りあうしかないという例えを聞くことがありますが、
レンダリングの処理を軽くする工夫も絶対必要ですが、
最後はマシンの人海戦術になるのだろうなと思いました。

170327

最近、htmlとCSSを弄ることと、Adobe Illustratorで作業することを並行して行なっていた。
その中で、Illustratorの不便さのようなものを少し感じた。


それは、CADで語られるパラメトリックと非パラメトリックに少し似ているのかと思う。


htmlの方では、htmlの方に必要なテキストを記述し、別ファイルに装飾のためのCSSを書いた。
その為、テキストの変更はhtmlで、デザインの変更はCSSでというかたちにになっている。
1つのCSSをそれぞれのhtmlで読むようにしたので、トップのページやその下の階層のページのデザインは一括で管理出来る。
この状態から、デザインを変更したい(文字のフォントや色を変えたい、背景を変えたい、配置を変えたいetc)場合は、1つのCSSを弄れば済む。


Illustratorの方では、似たようなフォーマットを複数ページ作ろうとした。
page01.aiのデザインを修正すると、page02.ai、page03.ai、、、pageN.aiまでのN個のファイルを修正するはめになった。
1つのファイルのパラメータを他ファイルにもまとめて適応されてくれよ、と思った。
(1つのファイル内で複数のページを作ってレイヤーなりで管理しながら、⌘Aでどうにかすれば良いのかもしれないけど)
(ちゃんと調べれば、何か方法があったのかもしれないのですいません知識不足です。)


ここでの作業の違いは、パラメトリックデザインと非パラメトリックデザインの違いに似ている(のかなと思った)。
もにょもにょしたものをパラメトリックデザインと呼ぶような風潮もあるが、ここでは履歴やパラメータを保持してデザインしていくものの意とする。


パラメトリックデザインでは、適当なパラメータをあてて、関係性をどんどん決めていくことができる。そしてある程度出来た後にパラメータを調整して、デザインを変える修正することができる。
パラメトリックデザイン(ダイレクトモデリングとも呼ばれる)では、ヒストリーとして何かが残っているわけではないので、あとで前の段階で作ったものを修正ということは基本的に出来ない。


パラメトリックの機能が必要なのは、試作を繰り返す際の作業効率を大事にするような製造業というイメージがあるが、そうでない環境でも付いているとても便利だ。
(製造業向けのソフトウェア、SOLIDWORKS、Inventorなどには必ずついているはずだ)


htmlとCSSでは、CSSの方で、でごにょごにょ関係性を記述しているので、パラメトリックデザインのように、CSSを触ることでパラメータだけを後でいくらでも変えることができるし、関係性を決めたCSSを読み込んであげれば、読み込んでいるhtmlファイルをまとめてデザインが変更できる。
逆に、illustratorでは、オブジェクトが違えば色の塗り替えや、フォントの変更ができるが、ヒストリーをいじることはできない(非パラメトリック的)。おのおののオブジェクトを変更することはできるが、複数ファイル、複数オブジェクト、複数ページにまたがるものはまとめて変更できない(ちゃんとやればできるかも)。


パラメトリックデザインと非パラメトリックデザイン、もしくは、ヒストリーかダイレクトと二項対立的に語られるが、僕の個人的な感想は、前者の方が圧倒的に便利で、非パラメトリックな環境はあまり使いたくないなと思った。


自分のPCには入っているソフトで言えば、Rhinocerosでは、ヒストリーをつかわずにも(一応あるがデフォルトの設定でオフになっている)、grasshopperによりパラメトリックが可能となっている。
また、Autodesk Fusion360は、基本は無料のソフト(有料ユーザーでも安い)であるが、ヒストリーが付いているのでパラメトリックデザインが可能だ。


しかし、平面へのデザイン、グラフィックデザインの標準ツールとなっている、illustratorでは、積極的にパラメトリックを使えるわけではない。
また、スクリプトという機能もあるのだが、それは、便利な拡張機能を作るということが多いようだ。
illustratorパラメトリックを持っていないので、僕はカッティング用のデータなどであればRhino+grasshopperで作り、.aiで書き出すことが多い。


グラフィックを作るのであれば、processingやopenFrameworksで、自分でコードを書くのでパラメータをいじれるようにつくることができる。
illustratorに耐えれなくなったらパソコンがもっとできるようになったら、illustratorから離れ、別の環境で制作するようになるのかなと思った。
(後で修正する必要がないようなすごく簡単なものであれば、ヒストリーはいらないので、illustratorや、wordでサクッと作れば済むのだけど)


ちなみに、自分の周りで多くの人が使っている、ヴェクターワークスではヒストリーが基本的にないが、シンボル等の機能があり、部分的にパラメトリックデザインのように使えるようだった。


いろいろ書き出してみると、grasshopperやFusion360のようなパラメトリックデザインが可能な環境はとても優れているなと改めて感じた。
そして、illustratorで不便な思いをしまくてもいいように、コードを書ける力をつけたいと思った。

170224

絵が模型がめちゃくちゃ上手い
ソフトウェアがめちゃくちゃ使える

それは、良い彫刻刀を持っているだけであって、良い彫刻が作れるかどうかとは全くの別物では。

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小学生の時に買う5本か6本の子ども用の彫刻刀セットは、(おそらく)刃の鋭さよりも手入れしなくて良い事を優先したような刃であるし、基本的な数種類の刃先のものしか入っていない。

それらに加えて、良い材質ですごく綺麗に掘れるものや、特殊な形の刃先のものを手に入れれば、子ども用のセットでは作れない、ダイナミックな、複雑な彫刻を作ることが出来る。

良い彫刻刀を持っていれば、表象として良く見える彫刻が出来る(かもしれない)が、彫刻(作品)そのもの、表現の本質的なところではそれは違うのでは、という話を、ある優秀なアドオンを触っていて少し思い出した。


作家(何かを表現することを生業にしている人間)の立場にいる大野さんにもっと色々つっこんで聞いておけばよかった。

表象として良く見える、悪い作品なんでもない作品てどんな…



道具云々を超えた良い作品を作っていきたいです。



良い彫刻刀を持っている知っているからこそ、それからインスピレーションを受けて、表現の幅が広がると言われれば、確かにそうなのですが。



もっと言ってしまうと、表現のもととなるインスピレーションを求める(歴史や文脈を探る、ピンタレストでネタを探す、人と話してアイデアを広げるetc)こと、それも良い彫刻刀を探しに行っているだけという、どこまでが道具でどこからが作品の本質かという話になってしまいそうで。




// 170609 追記
町田市立国際版画美術館でやっていた横尾忠則の展示を見てきた。
HtmlCSS の小技100選みたいなものを最近読むことが多いのだけど、そんな次元では無いパワーを感じました。
毎日見たい。
hanga-museum.jp






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170205

成果(物)と、その過程

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面白い記事を見かけた。
クロップ監督はショックを隠し切れず「全ての批判を受け入れなければ」 | サッカーキング



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記事より引用

リーグタイトルが遠ざかったことについては、
「それは私の中で最も大きな問題ではない。
私はこのチームでもっと良いフットボールをしたい。
我々はシーズンで成し遂げるべきことを示さなければいけない。
我々はこれまでにそれを何回か、しかしはっきりと一貫して示してきた。
これは、何よりもまず我々が変えなければいけないものだ」
とコメントし、目標の修正を示唆。

スポーツにおいて、特に優勝することを請われて監督をしているのに、
優勝が遠くなることを大きな問題ではない、それよりも良いフットボールをと言ってるけど...



結果(成果)と、その過程について考えることがあるが、それについて良い例かもしれない。


例えば、
アジアの弱小国に負けた試合後、
本田圭佑が「自分たちのサッカーができてよかった」と言ったら、どうなるのだろうか
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自分たちのサッカー の検索結果→Google



別の例を挙げれば、
めちゃくちゃ押し込まれていて、チームは良いところなし、しかし、審判の誤審でPKを貰い、決めて試合に勝った。
そのような時、渋谷のファンはスクランブル交差点でハイタッチするのだろうか。
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ハイタッチ→日本代表戦で恒例となった“渋谷ハイタッチ”。痴漢も発生する迷惑行為は今すぐ自制せよ | フットボールチャンネル


良い成果(物)と、良い過程は、必要十分条件ではないのだとわかる例。

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170727

アセンブル _ 共同体の幻想と未来」展

表参道のGYREでやっていたAssembleというアートユニット、集団(彼らのHPでは、collectiveと自称している)の「アセンブル _ 共同体の幻想と未来 展」という展示を見に行った。

assemblestudio.co.uk
f:id:ysok_na:20170322095936p:plain
http://retoys.net/pressnews/79332/


いくつかのプロジェクトが、それらは公共的な利益性が強いように見える、写真や映像などによって示されていたされていた。

どのプロジェクトも何も考えずに見れば、ポップで親しみやすい良い建築だと思えるけど、展示タイトルに掲げられた共同体って言葉や、テクストを読むとやっぱり…とも思えた。

a+uの2014年12月号 特集:建築家たちのエクスペリメントのインタビューなどからも)

この頃の諸々、昨年のゼミや、新建築2017年1月のクマ論文などからも感じていることですが、こじんてきにはうーんと思うこともあった。

ゼミではツバメアーキテクツの山道さん千葉さんにお話を聞いた↓
ysok-na.hatenablog.com


アセンブルのプロジェクトや、伊東のみんなの家を、多くの人が絶賛する空気が、建築を作るときには公共の利益や社会性を最優先しようね!(芸術)表現はなんておかしい!社会が大事でしょ!と、弾圧というか同調圧力に見えてしまう。

公共性、社会的利益を待たなくても、見た目だけでも良い建築があれば、テンション上がるじゃんとか思います(金沢に行った人たちが100パーセント写真を撮ってくる、金沢駅の門なんて機能的には何の意味もない建築では?)。




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161207

レクチャー ツバメアーキテクツ

現代建築論ゼミ
飯島洋一

テーマ
建築と大衆

ゲスト
山道拓人、千葉元生(ツバメアーキテクツ)
tbma.jp




山道+千葉のレクチャー

ツバメアーキテクツの構成
Design + Lab
space + social

5つの要素
Typology
Participation
Informal
Element
Transform

Typology:類型学
阿蘇草原情報館」
阿蘇のビニールハウスの反復と、桂離宮の庭とのつながる雁行の構成を参照。
建築の形態や、空間の作り方を学ぶ。
「旬八青果店
ベトナムのホイヤンの商店を参照

Participation:参加
荻窪ワークショップ」
7回の事前ワークショップによって新築であるが、住人の要望によってリノベ後のような改善された建築となった。

Informal:脱制度的
「高島平の居酒屋」
居酒屋の昼の時間を寄合所的にタイムシェア
何とも言えない施設、昼から夜の移行の過程のなんとも言えない空間。
「牛久の歯医者」
休みの日は待合室をリビングにしてもよいのではないか。
(診察室の構造の表しがすごかった)

Element:部分
「朝日メディアラボ」
ベットや畳など様々な部分の集合としてのオフィス。
ギリシアアテネの、アゴラを参照。

Transform:変形
「朝日メディアラボ」
家具は様々な使い方をするオフィスのために可動式に。
「蔀戸の家」
アーティスト2人のための家。
二重構造の窓で、蔀戸という窓を採用し、いろいろな使い方をできる。




飯島洋一コメント

近代建築の体系化、エリートの歴史、それに対しての非エリートの存在。
その表れとして、トランプの勝利やSNSでの炎上。
3.11以後の建築の姿とは?
3.11以後の建築の例としてあげられる、
伊東豊雄らによるみんなの家はスターの建築である。
拙著「らしい建築批判」など。
エリートVS非エリート、スターVS民意
陪審員的な設計、専門家+アルファの設計なども伺える。
そんな時代の曲がり角的なタイミングで若い建築家にきていただいた。
一つあまり関係のない質問として
ツバメアーキテクツという名前の由来は?
(飯島は住宅特集 2000年08月号で「『崩壊の後で』ーユニットは建築批判」という論文を発表して、結構話題を呼んだらしい、それについて五十嵐太郎による解説がこちら)
tenplusone-db.inax.co.jp


山道+千葉

個人名でやらない。
ツバメは人の家の軒先を借りている、そのイメージがある。
象設計集団的な、動物路線。



質疑
学生の質問:Q
山道+千葉の回答:A

Q.1
ワークショプ的な設計によって建築は変わるのか?
また、トップダウンによる建築家のエゴ、磯崎新のような芸術家のような建築家はいなくなるのか?


A.1
ワークショップといっても様々なものがある。

ツバメの荻窪事前リノベーション
ヒアリングやリサーチといった色が強く従来の設計で拾いきれないものを拾い上げる。
ヒアリングであって、決定のところではない。
新井千秋の大船渡リアスホール
直接的な介入、具体的な形態や機能など。
アレハンドロ・アラヴェナ
新たな建築の発明を目指す、未知の可能性に向けたディベートなど。

トップダウンというのは必ずしも悪ではない。
形がすごいものでもうまい使い方というものがあるかもしれない
建築に対してそれぞれ使う人というものがいる。
公共施設と住宅は違うものであるし、芸術性が全くなくなるということはない。


Q.2
旬八青果店などの公共との関わりを見せてもらったが、
リチャード・セラの傾いた弧について
公共の場での芸術表現についての立ち位置は?

A.2
公共の場では、戦略的に。
人々が利益を受けれるように or 挑発的な表現。
傾いた弧では、批判を受けたが、
同じセラでも、カナダの空港の彫刻は、とても良い印象を人々に与え、来る人々を受け入れている。
(公共の場にはみ出している)旬八青果店について、ギリギリのゾーン。
同じように考えている屋台のプロジェクトなどがある。



最後に飯島より質問

自分たちの仕事は作品ではなくプロジェクトと呼んでいると話されていたが、
美というものの追求はどう考えるか?
篠原一男から磯崎新、そしてザハ・ハディドへ。
藤村龍至はこれについて答えられなかったが、
若手建築家のリアルとして、芸術性の追求や、重きの置き方は?


山道+千葉

様々な価値観の横断
ポストインターネットとして、価値観の移行があった。
小さな活動ー大きな資本

機能美とは違う実践の中での現実的な美というのものを探している。
建築家なしの建築であげられたような実践の中での美。
スイスのある村では、
1人の建築家がいくつかの建築を手がけると、その村の大工がそれを真似たため、
村全体がオリジナルとそのコピーが混在するが良い状況となっていた。



追記

山道さんFBよりお借りします。




====================

参照しているということをはっきり言うのが印象的。
参照元はその辺の現代建築ではなく、
建築家なしの建築のような、集落の教えのようなところからだった。

最後の美の追求についてのところでも、
無名の美、非エリートの中での美に触れていたが、

161022

Python vs C#


”重い処理は C#で書くと軽くなって処理が早いのでコンポーネント実装を移植するだけの作業がある”
とくま事務所からの噂きいたので50x50x50の点オブジェクトを作る処理で実験。

grasshopperとghPythonとC#など

f:id:ysok_na:20161022195610j:plain


写真上から
grasshopper : 330ms (2%)

ghPython : 10.9s (85%)

C# : 1.2s (9%)

(grasshopperのところは他にもseriesなどのコンポーネントもあるので、もう少しかかる(ほぼゼロに近いが))



結果として、今回の作業だと、C#は、Pythonよりもはやいが、
grasshopperのコンポーネントで直接やったほうが早かった。

50x50x50 ならば コンポーネントが早いが、1万とかになると、cs が早かった。

  1. + + + +


以下、そーす

Python

(追記)これは、RhinoPython でラップされた rhinoscriptsyntax で書いているので遅い。Rhino.Geometry で書いた方がいい。ループも避けたほうがいい。

import rhinoscriptsyntax as rs

a = []

for i in range(x):
    for j in range(x):
        for k in range(x):
            point = rs.AddPoint(i,j,k)
            a.append(point)

C#

  private void RunScript(int x, ref object A)
  {
    List<Point3d> pts = new List<Point3d>();

    for (int i = 0; i < x; i++){
      for (int j = 0; j < x; j++){
        for (int k = 0; k < x; k++){
          Point3d tempPt = new Point3d(i, j, k);
          pts.Add(tempPt);
        }
      }
    }
    A = pts;
  }


(さらに追記、2022)
複数の処理を書くときにコンポーネントの中でデータをハンドルし要らない中間データをコンポーネントの外に出さない(表示もしない)ようにすると、
要らないものが描画のプロセスにかからないのでかなりパフォーマンスが良くなる。
また、RhinoCommon 経由でプロパティから抜けるもの関数使わずに情報が抜けるのでそれもパフォーマンスの改善につながる。

ghPython error : no module named perlin

ghPython Component
Python Module Import Error

ghPython コンポーネントの、
モジュールのインポートでエラーが出る。


nature of code
NOC Python Grasshopper: 06 2d Perlin Noise - YouTube

import rhinoscriptsyntax as rs
import perlin

sn = perlin.SimplexNoise()

pList = []

for i in range(x):
    for j in range(y):
        perVal = sn.noise2(i*scaleX,j*scaleY)
        point = rs.AddPoint(i,j,perVal)   
        pList.append(point) 
     
a = pList


error message: no module named perlin

add perlin.py
github.com


C:\Users\xxx\AppData\Roaming\McNeel\Rhinoceros\5.0\Plug-ins\IronPython (xxx)\settings\lib

ここに入れておく

・-・-・-・

同様に、
PostgreSQL 用の、psycopg2 とかもこの場所に入れる。

initd.org





(終わり)

160825

ABC of Incremental Housing

プリツカー賞アレハンドロ・アラヴェナのプロジェクト

 

自身が設計した集合住宅の図面をオープンソース化し、

お金が少ないところでも快適な生活環境を整えることができるように手助けする。

 

アラヴェナの事務所、ElementalのABC of Incremental Housingのプレス(http://www.elementalchile.cl/en/projects/abc-of-incremental-housing/

以下、英文が原文、日本語文が訳したもの。

ABC of Incremental Housing

Out of the 3 billion people living in cities today, 1 billion is under the line of poverty. By 2030 out of the 5 billion people that will be living in cities, 2 billion are going to be under the line of poverty. That means that we will have to build a 1 million people city per week with 10,000 dollars per family. Given the magnitude of the housing shortage, we won’t solve this problem unless we add people’s own resources and building capacity to that of governments and market. That is why we thought of putting in place an OPEN SYSTEM able to channel all the available forces at play. In that way people will be part of the solution and not part of the problem.

今日の都市には30億人の人が住み、10億人が貧困の基準を下回る。2030年には50億人が都市に住むようになり、20億人が貧困の基準を下回ることになる。それは100万人の都市を1週間で、1家族あたり10000ドルで建てなければならないことを意味する。住宅不足の重大さを考えると、政府や市場が人材と建材を投入しない限り、我々はこの問題を解決することができない。遊びの勢いをその解決に向けることができることが、オープンシステムとすると考えた理由だ。このようにして、人々が問題の一部でなく、解決策の一端を担うこととなる。

 

On the other hand, it is a fact that available resources are not enough. To face such scarcity of means, the market tends to do two things: Reduce and Displace; reduce the size of the houses, threatening the quality of life of its inhabitants, and displace them to underserved peripheries where land costs nothing, segregating people from the opportunities that made them come to cities in the first place. In order to face scarcity we propose a principle of INCREMENTALITY.

一方で、利用できる資源(ここではお金と時間)は、充分ではないのが事実だ。そのことに直面すると、市場は、減らすこと、置き換えること、この2つをする傾向がある(家のサイズを小さくするこし、 住人の生活の質を脅かす、土地代のかからない都市の周辺へ移動させる、まず第一に人々を都市に来る機会から遠ざける)。この住宅不足の問題にに直面するにあたり、我々は、INCREMENTALITY(増加性)の原理を提案する。

 

If you can´t do everything, focus on:

A. What is more difficult

B. What cannot be done individually

C. What will guarantee the common good in the future

もし、あなたが、このすべてをできないのならば

A. より難しいこと

B. 個人ではできないこと

C. 将来の公益を保証すること

 

We identified 5 design conditions as the ABC of incremental housing:

1. Good location: dense enough projects able to pay for expensive well located sites.

2. Harmonious growth in time: build strategically the first half (partition structural and firewalls, bathroom, kitchen, stairs, roof) so that expansion happens thanks to the design and not despite it. Frame individual performances and actions, so that we get a customization instead of deterioration of the neighborhood.

3. Urban layout: introduce in between private space (lot) and public space (street), the collective space, not bigger than 25 families, so that social agreements can be maintained.

4. Provide structure for the final scenario of growth (middle class) and not just for the initial one.

5. Middle-class DNA: plan for a final scenario of at least 72m2 or 4 bedrooms (3x3m), with space for closet or double bed, bathrooms should not be at the front door (which is the typical case to save pipes) but where bedrooms are; they may include a bathtub and not just a shower receptacle and space for washing machine; there should be possibility of parking place for a car. None of this is even close to be the case in social housing nowadays.

我々は、ABC OF INCREMENTAL HOUSINGというプロジェクトについて、5つのデザインの条件を確認した。

1. 良い立地。高価な良い土地(の代金)を支払うにも充分な密度の濃いプロジェクトである

2. 時間の中での調和のとれた成長。前半に戦略的に作ったにもかかわらず(区画ごとの躯体、防火壁、浴室、キッチン、階段、屋根)、デザインのおかげで拡張が起こる。個人の振る舞いや行動から、我々はカスタマイズされる。

3. 都市の配置。プライベートな場所と、公共の場所の間に、集団的空間というものを導入し、それにより、社会的な調和を維持できる。

4. 最初の状態のためでなく、成長の最終的なシナリオに向けて躯体を提供する。

5. 中流クラスのDNA。最終的なシナリオは、最低72平米または、3mX3mの4つの寝室とし、クローゼットまたはダブルベッドがある。浴室から寝室へのドアがあるべきではない。(寝室の)ドアからはバスタブではなく、脱衣場、洗濯機置き場も含めているスペースがあるはずだ。車を停めることが可能な場所がなければならない。最近の公共住宅の場合、このどれもがない。

 

In other words, make sure you balance: low-rise high density, without overcrowding, with possibility of expansion (from social housing to middle class dwelling).

言い換えると、低層でその密度が過密でなく、拡張可能で、(公共住宅と中流階級の住居の間で)バランスを取ろうとする。

 

HERE you will find 4 examples, with four different designs that pursue the same goals and principles. From now on they are public knowledge, an open source that we hope will be able to rule out one more excuse for why markets and governments don’t move in this direction to tackle the challenge of massive rapid urbanization. These designs may require to be adjusted to comply with local regulations and structural codes, follow local realities and use pertinent building materials. But they are knowledge that we have tested, that has proved to be beneficial to communities and that have been implemented accepting very pressing budget and policy constraints.

この4種は、同じ目的や同じ原理を追求した4つの設計だ。このオープンソース化により、市場や政府が、大規模で即急な都市作りの課題に取り組むという方向を取らないことの、これ以上の言い訳を排除できると、我々は望んでいる。いずれの設計も、現地の規制や構造的な規定に従うように調整すること、現地の実情に合わせ、適切な材料を使うことが必要だろう。しかし、これらは、我々がテストして、社会に有益であることが証明し、圧迫された予算や政策の制約を受け入れて実施されたと知られている。

 以上、全訳おわり。