進化電子工学

数学する身体
森田真生 著
より一部の抜粋


イギリスのエイドリアン・トンプソンとサセックス大学の研究グループによる進化電子工学

通常の人工進化が、コンピュータの中のビット列として表現された仮想的なエージェントを進化させるのに対して、物理世界の中で動くハードウェアそのものを進化させることを試みた。

課題は、異なる音程の2つのブザーを聞き分けるチップを作ること。

人間がチップを設計する場合、さほど難しくない。
チップ上の数百万の単純な回路を使って実現できる。

しかしこの研究グループはチップの設計プロセスを、人の手ではなく人工進化の方法だけでやろうとした。

結果、およそ4000世代の進化を経て、無事にタスクをこなすチップが得られた。これは、チップ自体はそこまで難度が高くないので、そこまで驚くことではない。

が、最終的に生き残ったチップを調べてみると奇妙な点がある。チップは100ある論理ブロックのうち、37個しか使っていなかった。
これは人間が設計した場合に最低限必要とされる論理ブロックの数を下回る数で、普通に考えると機能するはずがない。

さらに不思議なことにその37個の論理ブロックのうち、5つはほかの論理ブロックと繋がっていなかった。繋がっていない孤立した論理ブロックは機能的にはどんな役割も果たしていないが、これら5つの論理ブロックのどれ1つを取り除いても回路は動かなくなる。

トンプソンらは、この奇妙なチップを詳細に調べた。その結果、この回路は電磁的な漏出や磁束を巧みに利用していたのである。普通はノイズとしてエンジニアの手で排除される漏出が回路基板を通じてチップは繋がり機能的な役割を果たしていた。

チップは回路間のデジタルな情報のやりとりだけでなく、いわばアナログの情報伝達経路を進化的に獲得していたのである。


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これを、昔読んでめっちゃ面白いなと思っていたのだけど、最近読んだアルファ碁の解説によって理解が進んだ気がする。

アルファ碁解説に出てくる、ゲームをクリアする人工知能は、人間がこういうやり方だよこれがいいよと教えずに、点数が高いのがok という指示だけで、ブロック崩しやインベーダーを繰り返しやらせる。

その中で、点数が良かったものをひたすら学習していくコンピュータが、人間の持っている既成概念など知らずに、ひたすら繰り返すことで、人間の考えられなかった答えを見つけるというのが面白いなと思った。

ゲームのクリアの例もあるが、それは、タイミングの問題なので比較的に簡単そう。

この進化電子工学は、もっとやばいなと思いました。

終わり

(この本でしか見ていないので、何か調べて追記するかもしれません。)