プロポーザル、そして市民参加

太田市美術館図書館のプロポ分析をしたので、
そこで書いたテキスト貼っておく。

www.artmuseumlibraryota.jp

www.city.ota.gunma.jp



プロポーザルの募集で、 ‟市民や行政と一体となって計画案を練り上げる柔軟かつ高度な発想をもって、設計の役割を果たしてくださる設計者を選定“ と示され、プロポーザルの他の応募案にも、各機能ごとの企画設計チームを組むなど、なんらかの方法で市民や行政とともに設計を進めていくことが提案されていた。

その中で、実施案に選ばれた平田の提案書では、具体的に、設計フローと、そこに挿入される各段階のワークショップ(以下、WS)のスケジュールが示されていた(前のページ下段)。各段階のWSで考えるポイントをそれぞれ一つに絞り、市民とともにそれを選択していくこと、さらには、WSの議題についてどのように告知をしていくかということまで書かれている。一般的に、市民の声と、建設予算や諸条件を破綻しない設計、それぞれをどのように両立させていくかという課題もあると思うが、平田の提案では、プロポーザルの応募の時点で、市民参加についてここまで計画されていたため、審査員も推しやすかったのではと考えられる。

竣工後、平田は「ほんの5年ほど前まではこのような文章(10+1 特集 ワークショップと建築設計の最前線へ の寄稿)を書くことなど想像すらしなかったし、この文章を書くことすら躊躇したくらいだ。しかし、よくわかっていなかったからこそ飛び込んだ」、「上述のようなプロセス(市民WS)を経た結果、プロポーザル時のややクリーンな感じの案は、なんとも野性的なものに変貌した」、「(太田市美術館図書館を経て)これまでとは違うフェーズで建築を考えることができるようになった気がしている。」と述べている。

いわゆる建築設計コンペティションや、形だけの市民との意見交換会では、成しえないような建築になったのは、プロポーザルの要綱作成から選定までをうまく行った運営側のマネジメントや、平田事務所のWSと建築設計のオーガナイズの巧みさがあるといえる。これからの公共施設のつくりかたの一つの指針になるべき事例であるといえると考えられる。




(終わり)